アイスホッケーにおけるゴールの判定基準はどのようなものなのでしょうか。試合展開の早いアイスホッケーにおいては、足が入ったかどうかだけでゴールが取り消されてしまうことがあります。試合観戦時にゴールに関するルールを理解していないと、勝敗についても迷うこととなってしまいます。そこでここからはアイスホッケーの試合におけるゴールについて、判断基準やゴール前のゴールクリーズについて説明します。
アイスホッケーにおけるゴールとは?
アイスホッケーの試合におけるゴールはどのように判断されるのでしょうか。今回はアイスホッケーのゴール、得点について解説します。
ゴールの概要
アイスホッケーにおけるゴールはスケートリンクの両サイドに設定され、各チーム1個のゴールを守り、反対に相手のゴールに対してパックを入れることで得点となります。これは、1回入れるごとに1点となります。
寸法
スケートリンクに設置されるゴールのフレームは赤く、ネットが張られています。アイスホッケーのゴールの両端の柱はゴールポストと言われ、サイズは高さ127cm、ゴールポスト同士の間隔は183cmとなっています。ゴールは基本的にNHLの大人から小学生などの子どもまでどのカテゴリの試合においてもこのサイズで行なわれ、立てられたゴールの中にパックを入れることで得点となります。
ゴールの前には「ゴールクリーズ」と呼ばれる半円状のマークがあり、このクリーズ内から放ったシュートはゴールと見なされません。
ゴールキーパー
アイスホッケーでは1チーム1人をゴールキーパーとしてゴール前に配置することになります。ゴールキーパーは上述のゴールクリーズ内に基本的に位置することになり、センターラインまでしかパックを保有してプレーすることができません。
約150キロでゴム製のパックが何本も飛んでくるため、通常のプレーヤーに比べて頑丈な防具を装着しヘルメットも違う形のものを着用してプレーすることになります。スティックについてもプレーヤーの2倍ほどの重さがあるものを片手で持ってプレーします。
ゴールキーパーは1チームにつき2人までしかベンチに入ることができず、出場しているゴールキーパーに加えて補欠ゴールキーパーも負傷してしまった場合にはプレーヤーからゴールキーパーを選出することになります。
ゴール判定の基準
レフェリーによってゴール判定が下されると、ゴールの裏側にいるゴールジャッジのランプが光ります。ゴールにはネットが張られており、ゴール前にて選手がごちゃごちゃすることも多いため、微妙な場合はレフェリーとゴールジャッジの2人でゴール判定を決定することがありますが、ゴールの判定についてはレフェリーよりもこのゴールジャッジの判断が優先されることになり、これはゴール前で混戦が繰り広げられていた場合などのわかりにくい状況などで適用されます。
最近ではゴールの中のカメラが設置され、ビデオ判定を行うことが可能となったことからより正確なゴール判定を行うことができるようになりました。
ゴールラインを超えた時点で得点に
アイスホッケーではゴールをゴールライン(アイシングライン)上に設置し、パックがこのラインを超えてゴールの中に入った場合にゴールとして1得点が加算されます。
ラインを超えてパックがゴールのなかに入る際にはパックが着氷している必要はなく、空中に放たれたパックがゴールインした場合もゴールとなります。
ゴールと判定されないケース
基本的にはパックがゴールラインを超えた時点でゴールとされますが、中にはゴールラインを割っていた場合でもゴールとならないケースがルールによって規定されています。ここからは、ゴール判定が無効となるケースを2パターンお伝えします。
ゴールクリーズ内からシュート
ゴールの前に描かれた水色の半円状のゴールクリーズ内から打たれたシュートインクリーズとしてゴールと判定されません。基本的にはシューターの足がクリーズ内に入っているかどうかで判断され、パックの位置は関係ありません。
インクリーズによるシュートはゴールジャッジから見えにくい位置で発生するため、ゴールジャッジのランプが点灯するケースも少なくありません。試合観戦中にゴール前の混戦からゴールかどうか審議されている場合には、インクリーズが疑われている可能性が高いです。
ゴールが動いていたケーズ
シュートを打つ前にゴールが動いてしまっていた場合、放ったパックがゴールに入っていたとしてもゴールにはなりません。ただし、ゴールが動く前に攻撃側シューターがシュートモーションに入っていた場合にはゴールとして認められます。また、ゴールキーパーを上げて6人攻撃を行っていたチームがディフェンディングゾーンにてゴールを動かしていた場合にもゴールが認められます。
ちなみに、ゴールが動いたとされるのは試合開始時のゴール位置からゴールポストがずれた場合などが該当します。
ゴールキーパーの特殊性
アイスホッケーのゴールに関するルールやゴール前のゴールクリーズについて解説しました。ここからは、ゴールを守るチームの守護神としてプレーするゴールキーパーについてお教えします。ゴールキーパーは防具やユニフォーム等の見た目やプレーの制約など、通常のプレーヤーと異なる点が多く、国際ルールでもゴールキーパーに関する特別ルールが幾つも規定されています。
ゴールキーパーの防具
ゴールキーパーは試合中に150キロを超えるシュートを何本も受けることから、身につける防具が全く異なります。両足にはレガースと言われる大きなパッドのようなものを付け、足などに来たシュートはこのレガースを使って防御することになります。また、上半身はプレーヤーよりも大きくて頑丈なショルダーを着用することで、シュートが当たっても怪我をしないようにされています。
ヘルメットについてはゴールキーパーのものは「マスク」とも呼ばれています。これは、過去にはゴールキーパーは顔に仮面のようなマスクを装着してプレーされていたことから、現在もマスクと言われることがあるためです。ゴールキーパーの特別ルールとしては、チームカラーに関わらずヘルメットの絵柄は好きなものを着けることが認められ、選手ごとの特徴が分かるようになっています。ちなみにこの絵柄はペイントするだけで20万円近くする場合もあり、ゴールキーパーごとこだわりを感じることができるポイントです。
特殊ルール
上述のヘルメットに関する特別ルールの他に、アイスホッケーではゴールキーパーに対して独自のルールが様々規定されています。基本的には150キロ以上のシュートを受けることの危険性を考慮して、ゴールキーパーの安全を確保するために規定されたルールになります。
シュートが顔に当たった場合は試合中断
ゴールキーパーの顔にシュートが当たった場合には、レフェリーによってホイッスルが吹かれ、試合が一時中断されます。アイスホッケーにおけるシュートはスピードが早いことに加えて、ゴム製のパックであることから怪我のリスクも高いため頭に当たった場合には安全性を考慮して試合が中断されます。
ゴールキーパーがペナルティをした場合
ゴールキーパーが相手プレーヤーに対して反則行為を行った場合です。ゴールキーパーはがマイナーペナルティを行った場合には、ゴールキーパー自身がペナルティボックスに入ることはなく、味方のチームメイトが代わりに遂行することになります。しかし、メジャー、ゲーム・ミスコンダクト、マッチ・ペナルティを犯した場合にはゴールキーパー自身が遂行する必要があります。
ゴールキーパーは基本的にゴール前でのプレーとなるため、多くは自陣ゴール前での混戦から喧嘩などから反則行為が行なわれる可能性が高くなります。しかし、守護神であるゴールキーパーが幾度も反則行為を行うことで、チーム全体の流れが悪くなる可能性があり、試合のなかで最も白熱する場面であるゴール前においても、ゴールキーパーは冷静に対応することが大切です。
ゴールキーパーを下げてプレーヤーを1人増やすことが可能
パワープレーやキルプレー以外の通常時には、ゴールキーパーを含めた6人が常に氷上にいることになります。これは基本的にプレーヤーが5人、ゴールキーパーが1人ですが、ゴールキーパーを退場させて代わりにプレーヤーを1人増やすことが可能となります。
この戦術は「6人攻撃」と言われ、アイスホッケーの試合終盤になんとしてもゴールを奪いたいチームが攻撃に特化してプレーを行いたい場合に取られます。ただし、相手チームにパックを取られることで、6人攻撃を行っているチームのゴールは空となっているため、簡単に1点入れられてしまうリスクも伴うことになります。一か八かの賭けのような戦術ですが、拮抗した試合の終盤で行うことで試合の勝敗を分ける決定的なゴールを生む可能性があります。
試合を左右するゴールについて理解して楽しくアイスホッケーの試合観戦をしましょう
氷上の格闘技と言われるアイスホッケーは、ゴールの奪い合いが非常に激しく、ゴール前でのバトルも醍醐味のひとつです。よりゴールを多く奪うことで観客が盛り上がり、選手も盛り上がり、勝敗を左右する大きなポイントです。ゴールについて知識を増やして、より楽しくアイスホッケーの試合を観戦しましょう。